国内の新婚旅行先に箱根を選んだのは、
日程的に長期の休暇が取れないからだった。
偶然、当日勤めていた支店の隣が
旅行代理店で、休憩時間にふらっと
入ったら「佳松」のパンフレットが目に入った。
二人で6万円超の宿泊代金だった。
悩んだが、新婚旅行だからと思い切った。
心配だったのは、当時の旅行案内の雑誌等には、
一切の紹介記事がない事だった。
約20年前。
もしかしたら、出来たばかりだったのかも
知れないが、内心ドキドキした。
前泊の横浜のホテルを出て、
車で箱根に向かった。
箱根の関所跡近く、1号線を右折し
軽く坂を上っていくと、
大きな門構えが見えた。
旅館と言うよりはお屋敷という感じ。
門の前にはもう迎えが待っていた。
何処かに仕掛けがあるのだろうが、
その時は、ず〜と待っていたのでは?
そう思えるくらいのタイミングだった。
さりげなく手篤いという印象です。
お客を緊張させるような
格式張ったところはありませんでした。
廊下ですれちがう時は、
きちんと停止して一礼されましたが、
ごくごく自然で、ああこれが
この旅館のしきたりなのだ、
と納得できました。